【ボカロ】アンノウン・マザーグースの魅力を全解説! ボカロ史に衝撃を与えた不朽の名曲

2021年08月05日 14:16

アンノウン・マザーグースとは?

音楽家wowakaさんの12作目の楽曲で、2017年、6年ぶりのボカロ曲としてニコニコ動画、YouTubeで公開され話題になりました。

作った人

曲・歌詞・絵 ― wowakaさん
演奏 ― ヒトリエ
声 ― 初音ミク(ボカロ)

もくじ

・ミクさんの叫び
・高すぎる演奏技術
・コード進行
・怒涛のBメロ
・静かなサビ
・「おーおーおー」

ミクさんの叫び

この曲で注目すべきポイントの1つ目は、初音ミクの調教です。

箇所によって一瞬のビブラートがあったり、小さい「つ」が入っているような発音があったり、ノイズ混じりの部分があったりします。ミクさんの歌声だけで何度でも聴けてしまうくらいです。

他にもならではの調声が見られる箇所はたくさんあります。ぜひ探してみてください。
命懸けで叫んでいるかのような歌声に胸が締め付けられます。

また、初音ミクへの命の施しは、ハモリのパートでも見られます。
アンノウン・マザーグースは、ハモリがある部分とない部分の分け方が絶妙です。ない部分では、ミクさんただ1人の声が直接耳に届いてなんとも言えない気持ちになるし、ハモリがある部分では声が重なった分、叫びがより心に響きます。

高すぎる演奏技術

この曲を聴いてとにかく驚いたのが、演奏技術の高さです。
ギターは、カッティングという奏法から始まり、Bメロでは追いつけないほど高速のフレーズを弾いています。キーボードの動きもとんでもないです。
ドラムも至るところに連符が見られますが、動きが激しすぎて、もし自分が奏者なら倒れそうだなと思います(´ω`;)

また、私が特に好きなのが、たまに聴こえるピアノの音です。機械音に突然加わる生の音に、せつなさを感じざるをえません。

このように、アンノウン・マザーグースでは様々な楽器がハイレベルな演奏技術を駆使して、曲中の喜怒哀楽を演奏し分けています。
奏者であるヒトリエは化け物です!
( °ω° )

コード進行

コード進行(ピアノでいう左手部分)も秀逸です。
まず、Aメロではほぼ変わらずF#m(ファのシャープで暗い響き)です。ずっと同じコードの曲は、wowakaさん自身はよく作られるものの、なかなかありません。またマイナーコード(暗い響きの和音)であるがゆえに、独特の雰囲気がただよっています。

ところがBメロで変化が訪れ、コードはDになります。つまり、ベースがずっと「レ」を鳴らしている状態です。
底の方から聴覚を刺激される感じがします。

そして、サビ以降は「F#m→D→E→A」という動きのある進行になります。物語性があり、特にこの曲ではメロディや歌詞も相まって、泣きそうになる進行です。

このように、コード進行が曲の起承転結を作り上げているように思えます。

みんな大好き、サビ後の「おーおーおー」の部分は、「D→E→F#m」という進行になります。
レ→ミ→ファ#、つまり下から上に昇るような進行です。このベースの動きが、聴く人の感情をより昂らせるひとつのきっかけになっているのではと思います。

怒涛のBメロ

Aメロの終わり、「覚ましてくれ!」の部分、よく聴くとベースが下から上に移動しています。ここからのBメロの盛り上がりは異常です。早口の歌に、バックで「おー」と初音ミクの声が追い討ちをかけます。ギターやドラムも激しさを増していき、聴いている人の心拍数も上がりそうです。

静かなサビ

盛り上げに盛り上げた末、手拍子で雰囲気が一変し、サビで穏やかになります。
天才的な構成です。

ドラムも静かになり、ミクさんの声と脳を衝くマリンバの音が静かに響きます。
そうして、また徐々に盛り上がっていくサビ後。

「おーおーおー」

おそらくこの曲の山場は、サビ後の部分です。
「ああ、あたしの全部にその意味はあると―」
歌詞のないメロディ、そこにミクさんの思いが一心に託されている気がしてなりません。

この曲は、ボカロ史上最高峰の音楽だと思います。はじめから最後までとにかく美しくて、ここでは書ききれないほど魅力で溢れかえっています。歌詞、メロディ、伴奏、どこを切り取っても素晴らしい楽曲です。

記事一覧を見る

powered by crayon(クレヨン)